専門研修プログラムの概要|専門研修はどのようにおこなわれるのか|専攻医の到達目標|施設群による研修プログラムと地域医療についての考え方|専門研修の評価|修了判定|専門研修管理委員会|専門研修指導医|Subspecialty領域との連続性|専攻医の処遇(基幹施設)
ホスピタル坂東精神科 専門研修プログラム
医療法人清風会ホスピタル坂東
久永 明人
当院は、圏央道の坂東インターに隣接する立地にあり、いわゆるスーパー救急病棟を有し、茨城県の精神科三次救急を担い、茨城県南部を中心としつつ県全域の精神科救急医療に貢献している病院である。
また、精神科を中心としつつ総合病院として地域医療全般を担っており、一般科の医師の協力の下で、精神科身体合併症治療の受け入れも積極的に行っている。
精神科救急医療においては、県境に位置する地理的条件もあり、隣接する千葉県、埼玉県、栃木県からの受け入れ要請も少なからずあり、広域での地域精神医療の役割を果たしている。
一方、急性期の精神医療に限らず、慢性期についても精神療養病棟を有し、さまざまな事由で入院が長期化した患者の退院支援も行っている。
当院内には精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などの多数のコメディカル・スタッフを擁しており、きめ細かなチーム医療が実践できる環境にある。さらには、法人グループで隣接地に訪問看護ステーション、障害福祉サービスの各種事業所、介護老人保健施設、介護老人福祉施設などを有して連携しており、医療・介護・福祉の全般的な対応を可能としている。
当医局においては、大学病院や基幹病院で実績を積んできた臨床経験豊富な指導医が指導に当たっている。
また、茨城西南医療センター病院や筑波記念病院をはじめとした圏域の複数の総合病院からの初期研修医も代わる代わるローテーションで訪れ、筑波大学附属病院連携施設精神科専門研修プログラムの専攻医も当院で連携施設研修を行うために在籍しており、筑波大学附属病院精神神経科をはじめ、圏域の基幹病院との人的交流がある。
連携施設としては、長年にわたって医療連携を築いてきており密接な関係にある筑波大学附属病院精神神経科、法人グループの中でとりわけアルコール・アディクションの領域を牽引してきた船橋北病院、法人グループの中で認知症疾患医療センターを有し地域医療に貢献してきているとよさと病院の3施設と組んでいる。
当院の研修プログラムは、多くの多彩な症例に恵まれ、精神科診療を幅広く高い密度で経験できることにとどまらず、精神科救急、身体合併症、認知症、アルコール・アディクションに厚みがある点に特色がある。
1年目・2年目は基幹施設で研修する。1年目は、病棟診療を中心に研修し、問診技術、精神医学的症候の捉え方、精神医学的診断と鑑別、薬物療法、精神療法、チーム医療などの精神科診療の基本を学ぶ。
2年目は、外来診療も担当し、精神科診療を自立して実践できる力を身につけることを目標とする。3年目は、連携施設である筑波大学附属病院で研修し、学究的視点を身につけるとともに、基幹施設では学べない核医学検査、修正型電気痙攣療法などの研修を受ける。
船橋北病院で、アルコール・アディクション領域の研修を受ける。とよさと病院で、認知症疾患医療センターの役割や地域精神医療の研修を受ける。
3年目の研修においては、前記3連携施設を3か月ずつローテートするが、特にアルコール・アディクション領域の研鑽を積みたい場合は船橋北病院の研修を6か月に、認知症疾患医療センターや慢性期の患者支援の研鑽を積みたい場合はとよさと病院の研修を6か月に延長することができる。
3連携施設の研修を各3か月とする場合は、基幹施設で3か月の研修を受け、急性期治療や身体合併症治療についてさらなる研鑽を積む。
1年目は、基幹施設で基本を学ぶ。2年目は、基幹施設で指導医の指導の下、自立して治療を実践できることを目標とする。
3年目は、連携施設での研修を行い、基幹施設の研修で学べなかった専門領域の研鑽を積むとともに、研究マインドを養う。
基幹施設は、急性期治療および救急治療と身体合併症治療に重きを置いており、アルコール・薬物依存症、児童・思春期精神障害、てんかんなどを含めて幅広く症例を経験することができるほか、医療観察法における鑑定入院も経験することができる。
連携施設では、筑波大学附属病院において、専門的知識を得るとともに研究マインドを養い、また児童・思春期を中心とした摂食障害に対する治療を特に経験することができる。
船橋北病院においては特にアルコール・アディクション領域の、とよさと病院においては特に慢性期治療および地域医療の経験を深めることができる。
基幹施設は、茨城県西南地域の僻地かつ医療過疎地域に立地しているため、日常診療の中で地域医療を存分に経験することになる。
当該研修施設での研修修了時に、専攻医は、研修目標の達成度の自己評価を行う。
次いで、研修指導医は専攻医を評価し、専攻医にフィードバックし、研修指導責任者に報告する。
また、研修指導責任者は、その結果を当該施設の研修委員会に報告し、審議の結果を研修プログラム管理委員会に報告する。ただし、1つの研修施設での研修が1年以上継続する場合には、少なくとも1年に1回以上は評価しフィードバックする。
基幹施設の研修指導責任者は、年度末に1年間のプログラムの進行状況ならびに研修目標の達成度について、専攻医に確認し、次年度の研修計画を作成する。
また、その結果を研修プログラム管理委員会に提出する。
なお、研修指導医は、専攻医が当該研修施設での研修中および研修終了時に、専攻医を指導した内容について指導医コメント欄に具体的な指導内容やコメントを記載する。
その際の専攻医の研修実績および評価の記録には研修実績管理システムを用いる。
研修実績管理システム上に記録を残すフィードバック以外にも、指導医は、専攻医の要請に応じて随時指導を行う。
研修プログラム統括責任者は、各専攻医が最終研修年度の研修を終えた時点で、研修期間中の研修項目の達成度と経験症例数を評価し、それまでの形成的評価を参考として、専門的知識、専門的技能、医師としての備えるべき態度を習得しているかどうか、ならびに医師としての適性があるかどうかを吟味し、プログラム管理委員会の審議を経て修了判定を行う。
専門研修プログラム管理委員会は、研修プログラムの作成、プログラム施行上の問題点の検討や再評価を継続的に行う。
また、各専攻医の統括的な管理(専攻医の採用や中断、研修計画や研修進行の管理、研修環境の整備など)や評価を行い、専攻医および指導医によって研修実績管理システムに登録された内容に基づき専攻医および指導医に対して助言を行う。
研修施設の管理者は、専攻医のために適切な労働環境の整備に努めるとともに、専攻医の心身の健康維持に配慮しなければならない。
その際、勤務時間は週32時間を基本とし時間外勤務は月80時間を超えていないこと、過重な勤務にならないように適切な休日を保証していること、当直業務と時間外診療業務を区別しそれぞれに対応した適切な対価が支給されていること、当直あるいは夜間時間外診療を区別し夜間診療業務に対して適切なバックアップ体制を整えていること、各研修施設の待遇等が研修に支障がないように配慮されていること等を考慮する。
専門研修プログラム管理委員会は、上記について継続的に評価し、問題があれば、随時当該研修施設の管理者に対して、改善を要請あるいは指導する。
研修プログラム管理委員会は、専攻医および研修プログラム全般の管理の他に、研修プログラムの継続的改良を行う役割を担う。
研修基幹施設と各研修連携施は、研修指導医と多職種などの協力により定期的に専攻医の評価を行い、また、専攻医による研修指導医・指導体制に対する評価も行うが、これらの双方向の評価を、研修プログラム管理委員会で検討し、研修プログラムの改善を図る。
専攻医になろうとする者に対しては、事前に病院見学を勧める。採用については、プログラム統括責任者が面接を行って吟味する。修了については、専門研修管理委員会において審議し判定する。
研修の休止・中断は、専攻医からの申し出、もしくは医療スタッフからの意見により、専門研修管理委員会で個別に審議して決定する。
プログラムの移動、プログラム外研修の条件についても、専門研修管理委員会で個別に審議して決定する。
各研修施設は、日本専門医機構および日本精神神経学会によるサイトビジットや調査を応受する義務がある。
その他、研修プログラム統括責任者、研修指導責任者は、必要に応じて、研修施設間で相互にサイトビジットを行う。
久永明人(ホスピタル坂東・臨床教育部長)
三浦宗克(ホスピタル坂東・医局)
野村正文(ホスピタル坂東・医局)
基幹施設であるホスピタル坂東は、日本老年精神医学会および日本認知症学会の研修施設であり、精神科専門医取得後、それらの学会の専門医を取得するための研修を受けることができる。
雇用形態 | 常勤 | |
任期の有無 | あり | |
給与 | 月額 | 75万円 |
年額 | 900万円 | |
諸手当 | 当直手当 | 4万円 (1回につき) |
時間外手当 | 年俸に含む | |
賞与 | なし | |
健康保険 | 組合保険 | |
医療賠償責任保険の適用 | 病院加入 | |
勤務時間 | 8時間 | |
週休 | 2~3日 | |
有給休暇 | 勤続6ヶ月 | 10日 |
1.5年 | 11日 | |
2.5年 | 12日 | |
3.5年 | 14日 | |
4.5年 | 16日 | |
5.5年 | 18日 | |
6.5年以上 | 20日 | |
年間時間外・休日労働時間 | 0時間 | |
月の勤務上限時間 | 128時間 | |
月の当直回数 (宿日直許可の有無) |
2~4回 |